失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

現代の小説

『未必のマクベス』(早瀬耕、2017)

水曜日にブリッジ的な休暇があったおかげで、睡眠習慣が改善され、体調がよくなりつつあります。運動をしたことも影響している気がして、睡眠と運動の大切さを実感しています。木曜日は皇居ランをして、昨日は松戸で10kmランニングし、今日も今日でラグビー…

『礼讃』(木嶋佳苗、2015)

私は凶悪事件や少年犯罪に対して、昔から興味がありつつも、でも犯罪者心理を紐解いて共通項を見つけたり育ちの異常性を明らかにするようなワイドショー的な論調は嫌いだし、かと言って同情して更生や再発防止を議論するのも好きではないです。純粋に「どう…

『マチネの終わりに』(平野啓一郎、2016)

平野啓一郎は高校生の頃に『日蝕』というあえて文語体で書かれた小説を読んだ以来で、『滴り落ちる時計たちの波紋』と共にたまたま出会って手に取りました。三島由紀夫のような華美な文章をかみしめていくような話だった記憶はあって、話も結構グロかった記…

『ハンチバック』(市川沙央、2023)

芥川賞受賞のインタビューに感銘を受けて朝の上野駅ですぐさま購入し、朝のうちに読み終えました。面白いというより嫌な気持ちになることが多い小説ですが、好きなタイプの小説でした。自身が言語化できていなかった感情や、体験しえなかった感覚を、読書を…

『笑って人類!』(太田光、2023)

私は爆笑問題の太田光ファンでして、ラジオで話をされているのを聞いてすぐさま手に取りました。 笑って人類! (幻冬舎単行本) 作者:太田光 幻冬舎 Amazon 面白くて一気に読み、その勢いでAmazonのレビューを勝手にブログ化してしまいました。 太田総理 私は…

『勝手にふるえてろ』(綿矢りさ、2010)

『蹴りたい背中』を読み返してから、綿矢りさに虜だ。読み漁っています。 嫌なところに気づくなというか、言語化できていない感情を教えてくれる。会話のリズムも私と同世代の平成の文体で、読んでいて同じ速度で感情や思考が動く感じもして心地よいです。 …

『日曜日の人々』(高橋弘希、2017)

昔から図書館や古本屋が好きで、地元のBOOKOFFでタイトルと表紙に惹かれ何となく手に取り出会いました。 日曜日の人々 作者:高橋 弘希 講談社 Amazon タイトルと表紙からの予想に反して、やや重ための小説でした。精神と肉体(行為)の分離というか、精神的…

『三体』(劉慈欣、2019)

流行っていると聞いて1年前くらいに購入したまま置いてありましたが、暇になったのでふと思い出して読み始めたら止まらなくなり、全巻購入して読み進めております。 三体 作者:劉 慈欣 早川書房 Amazon 歴史とSFとワクワクする面白さです。一番ネタバレが面…

『STONER』(ジョン・ウィリアムズ、東江一紀訳、2014)

私ははてなブログのサジェストでおすすめされるブログをしばしば巡回しておりまして、その際におすすめに上がっており、手に取った本です。 ストーナー 作者:ジョン・ウィリアムズ 作品社 Amazon penginsengen.hatenablog.com かなり私の中に刻み込まれた本…

『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子、2022)

芥川賞受賞作品、現代に求められる小説。ムカつく小説だなと思いつつ、共感してしまうことに空恐ろしさも感じる小説でした。 おいしいごはんが食べられますように 作者:高瀬隼子 講談社 Amazon 主要な登場人物は3人で、優秀な若手男性社員の二谷、身体が弱い…

『滴り落ちる時計たちの波紋』(平野啓一郎、2004)

中二病時代、三島由紀夫は旧字体で読まなければいけないという原理主義的な思想のなかで『日蝕』(平野啓一郎、2002)に出会いました。美しい文章だなと思いつつ、話は難しかったなという薄い記憶です。 平野啓一郎という名を見て、そんな記憶を思い出しなが…

『蹴りたい背中』(綿矢りさ、2003)

中学生くらいのときに読み、心にこびりついて印象に残っていた本です。自分が繊細だと思っている語り手の”長谷川”、彼女が学校内の人間関係としての世間を斜に見たり、同種の人間というか同じく馴染めていない”にな川”。そんな二人と学校という世界を中心に…

『コーヒーが冷めないうちに』(川口俊和、2015)

就職活動をしているくらいの時期、電車の中吊り広告で見かけた帰りに、彼女の家に置いてあったのを借りて読んだ気がします。この前BOOKOFFで見かけ、ちょっと表紙がささくれ立っている本が並んで100円で売っているおり、時の流れの残酷さを感じました。 …

『青天の霹靂』(劇団ひとり、2013)

劇団ひとりさんの小説。私はお笑いが好きで、劇団ひとりさんは昔からファンで『陰日向に咲く』も小学生のときに読んだ記憶があります。2作目が出てたことは全く知らなかったのですが、太田上田で劇団ひとりさんがゲストに出ている放送回があり、そこで本作…

『ウメ子』(阿川佐和子、2002)

この本には割と最近に出会った気がします。保険の仕事をしているときに上司が「阿川佐和子を知っているか、彼女のヒヤリング力は本当にすごいから聞いたほうがいい」と言っており、帰り道の古書店で”阿川佐和子”コーナーで目を引いた本として『ウメ子』を手…

『マルチの子』(西尾潤、2021)

保険屋時代、ちょうどマルチ関係で色々あったときに書店で出会い、手に取った本です。 主人公の女性はよくいそうな大人しく真面目な人なのですが、"マルチ商法"の世界に居場所を求め、成長を実感し、壊れていく様を描いた小説です。はじめに属しているネット…

『コンビニ人間』(村田沙耶香、2018)

芥川賞受賞作品で、当時書店で見つけタイトルに惹かれて出会った本です。 コンビニ人間 (文春文庫) 作者:村田 沙耶香 文藝春秋 Amazon 学生時代からのコンビニバイトを続けているフリーターの女性が主人公。『コンビニ人間』の名前の通り、コンビニバイトで…

『十字架』(重松清、2009)

この本との出会いは小学生の頃、教材で使われてたものと記憶しています。中学受験の勉強をしていたのですが、重松清はよく教材に使われていた気がします。 中学校のいじめと自殺をテーマとした小説で、いじめを苦に自殺したフジシュンと、遺書に書かれた4人…

『西の魔女が死んだ』(梨木香歩、1994)

久しぶりに読みました。小学生か中学生の頃、教材で使われてたものから興味を持って、図書館で借りて読んだ記憶があります。26歳になって読むと、当時の記憶や感情が思い起こされるということに加え、いま向き合っている課題に対しての処方箋として機能する…

『劇場』(又吉直樹、2017)

これも何年か前に流行った小説ですが、2022年になって私の目を引くこととなり、読むこととなりました。 劇場(新潮文庫) 作者:又吉直樹 新潮社 Amazon 純文学なので、文章の美しさを楽しんだり、感じたことのある感情や現象を言葉にするとこうなるよねとい…

『狭小邸宅』(新庄耕、2013)

2019年に不動産会社に入社して、先輩からおすすめされて読んだ本です。不動産業界に戻り、○ープンハウスとの接点も増え、読み返したくなった本です。 要は上記の不動産会社の実態を小説にした本で、主人公がやさぐれて壊れていく様を読み進めていく形です。 …