失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

『永遠の0』(百田尚樹、2006)

昔映画をやっていた気がしますが、2022年になって手に取ることとなりました。というのも会社の研修で、幕末や大戦の歴史を知るといったテーマで、読まされたというのが近いですが、良い出会いでした。

戦争経験世代にインタビューをするといった形式で、自分もおじいちゃんやおばあちゃんから戦争の頃や戦後の話を聞いたことを思い出します。

この前おばあちゃんの一周忌で、普段はあまり話すことのなかった遠い叔父や叔母と話し、知りえなかったおばあちゃんの姿を聴く機会が増えました。私がその話を聴く中で抱く感想は雑に言うとエモイなというだったんですが、紐解いていくと、祖母から発せられる「みんな仲良く」や「元気ならそれで充分」といった能天気なPeaceなメッセージはこんなにも重みをもった言葉なんだなと認識したというのが近いのかなと、法事が終わって1週間近く経って気付かされた次第です。

祖母は6人兄弟の末っ子だったそうで、埼玉県の川越に住んでいたそうですが、祖父である父に嫁ぐにあたって、戦後混乱期にリアカーを曳いて飯能に越してきたそうです。そんな話を聴いたことはなかったですし、そこからの話もずっと波乱万丈で、真面目に小説にしたらこんなに面白い話はないだろうという人生でした。祖父は労働争議のなかで会社をクビになり、事業を起こして子供と暮らしていくわけですが、若くして30代半ばで結核で亡くなります。そんな絶望的な状況ですが、女手一つで子供3人を育て上げたという訳です。叔父は祖母の姉の子供な訳ですが、上記の話以外にも、子供の頃に面倒を見てもらった話や一緒に遊びに出かけた話を、昨日のことのようにうれしそうに話すのです。

「みんな仲良く」

「元気ならそれで充分」

子供の頃もなんとなく聞いていましたし、大人になってからはそんなに言われることもなくなりましたが、振り返ってこの言葉を思い出すと、もっとおばあちゃんと話せばよかったなと思います。

誰かの話を聴きたいと思うときには、その人と話せなくなっていることが多いように思います。

なんでもない日にでも、会いたい人には会おうと思う。そんな一日でした。