失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

『亜人』(桜井画門、2012-2021)

このブログで漫画を取り上げるのは初めてですが、絵本も取り上げているので良いでしょう。今年のはじめくらいにたまたま知った作品でどハマりしました。

2021年の年末年始私は過酷な生活を送っていまして、昼は保険屋の残り仕事をしながらエコキュートを売るバイトをし、夜は知り合いの居酒屋で働かせてもらっていました。当然お金もなく家を解約し、実家は田舎過ぎて仕事もないので、20日くらいネカフェや実家・知り合いの家で過ごすという生活をしていました。

ネットカフェには当然寝るために居るのですが、私も高校の頃までは漫画オタクだったのでワクワクでいくつか気になっている作品を読む中で出会いました。高校の頃は高くて買えなかったような作品や、完結しなくてどうなっていたんだろうみたいな作品もたくさん読めて、暗黒生活のなかで救いとなりました。

 

コロナに罹患して暇ないま『亜人』を読み返すと、思い出すのは上述のような生活なんですが、『亜人』はそれを忘れさせてくれるくらい面白い作品でした。

 

私は銃撃戦の構図がアクション映画さながらの漫画が好きで、『トライガン』や『ジオブリーダーズ』のようなものが大好きだったので、『亜人』を読んだときは衝撃でした。死んでも生き返る亜人を扱うので、戦闘のなかでは敢えて死んだり、腕を切り落としたりというありえない場面がたくさん出てきます。そんななかで多くの人間が入り混じって、カメラの位置も切り替わってアクロバティックに魅せてくれるのが最高にクールだなと思って熱くなりました。登場人物も人間味がないようで、途中から過去のエピソードが出てきたりしたあとで、様々な場面の行動や判断でその人らしさが出るのが素敵でいいのです。

実家を出てからは紙の漫画を所有していなかったのですが、見開きでみたいので久しぶりに全巻紙で揃えました。

 

これきっかけで、「昔は漫画好きだったよな」という忘れかけてた思い出がたくさん出てきたので、今後はいろんな漫画のタイトルでまた自伝つけたいなと思いつきました。

例えば、小学生の頃ジャンプSQ.が創刊されてネギシっていう友達と一緒に読んでたなとか、中学校入って少ないお小遣いで少年チャンピオン買ってたなとか、みんなで漫画持ち寄って中学校のロッカー4つ分くらい漫画図書館作っててエロ漫画棚だけ検挙されて没収されたなとか、ジャンプでアイシールド21が流行ってたお陰で何故かラグビー部がやや人気で勧誘ラクだったなとか、すごい色々鮮明に思い出しました。

また最近は『SPY×FAMILY』が流行ってますが、小中学校の頃のジャンプスクエアで作者を追っかけてて『TISTA』と『月華美人』は好きで当然コミックも買ってたし、読み切りも切り抜いてバインダーに残してたし、短命で終わってしまう悲しさも知ってたから毎月読者はがきも出してたしなというのも思い出しました。

 

人生で一番苦しいだろうなと思ってた時期のネカフェで出会った『亜人』ですが、コロナで暇ないま改めて手に取るなかで、もう思い出さなかったかもしれない漫画オタクの自分、学者方面のオタク化前のカネコを思い出すことができました。

亜人』作品内の”フラッド”のように幼き頃の記憶が止まらなくなったコロナ罹患4日目の夜でした。