失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

『図解日本アムウェイ』(日刊工業新聞社編、2015)

以前話したことがあるかもしれないですが、私は目のキラキラしたガーシーにエロい幼稚園の先生をアテンドされ、浄水器を買う運びとなり、某マルチ商法のネットワークの末端に組み込まれております。そのマルチ商法から逮捕者が出て業務停止になったとのことで、押し付けられ借りパクシリーズのこの本を手に取った次第です。

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メーカーとしてはしっかりしたところなんでしょうが、やっぱりそもそも営業というかどちらかというと販売の現場というのはやっぱり熾烈で、その外資系の企業に勤務しながらこのMLMでも成り上がってやろうとしているキラキラガーシーも必死にやってました。

 

私は基本的に性格がねじ曲がって悪いのですが、見た目はかなりポップで人が好さそうな見た目をしているのでバランスが取れています(大江裕という北島三郎の弟子にかなり似ています。)。そのポップなビジュアル故に宗教勧誘やマルチへの勧誘が後を絶たず、性格の悪さと好奇心の強さ故にちゃんと聞いたうえで楽しめるということでウィンウィンの関係が築けております。

 

Amwayではなく、安倍晋三暗殺の件で世間を騒がせた宗教の勧誘もかつて受けたことがあり、一時期は月一回朝ごはんをごちそうしてもらっていました。

当時は保険外交の仕事をしており、売れな過ぎて死にそうな時期でしたので、勧誘を受けた時はむしろ保険を売れないかなという思考で、「聖書の勉強会!?全然行きますよ!」くらいのテンションでした。

30代の主婦でしたが一等地にビルを持っている地主の家系で、保険の取引ができないかな+不動産の取引ができないかな+ごはんが食べたいという下心100%で接していました。

とはいえ文学少年の濃度が濃いので、当然に宗教学やキリスト教的なことについて興味も大きかったので、聖書の解釈について実際の信者の方からうかがえるのは面白かった記憶があります。

印象に残っているのは「つまずく」という言葉で、聖書にはよく出てきまして、その意味は、主イエスに従っていくことができなくなること、信仰を失ってしまう挫折のことを、つまずいて転んでしまうことになぞらえています。聖書は史実と連動するところもあるので、ユダヤ教徒ローマ帝国ユダヤ州統治の力を利用して、新興のキリスト派閥を排除しようとする流れのなかで、拡大した信徒たちが「躓いて」いく様は熱い展開でしたし、十二使徒たちですら躓きかけていくなかで、奇蹟が起こる流れは面白かったです。あとはオスカーワイルドの『サロメ』も好きなので、バプテスマのヨハネの話も元ネタを知れて楽しかったです。

 

引っ越してから疎遠になりましたし、保険の仕事も辞めて営業的な下心もなくなったので久しく連絡していないですが、安倍首相の事件もあって大変な思いをしているかもしれないので心配です。そういえばその人にマックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』とキルケゴールの『死に至る病』を貸した気がします。苦難を乗り越えるには、大いなるものへの信仰も大切ですが、世間で戦っていくためのソリッドな思想も必要になってきます。私のバイブルたちを読み込んで、荒波を乗り越えてくれることを陰ながら祈っております。