失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

『商人・預言者・指導者・王』(ジャレド・ダイアモンド、2026)

ジャレド・ダイアモンド89歳、新著が平置きされており、速攻で手に取りました。

『銃・病原菌・鉄』は高校の頃に読んでとても影響を受け、歴史学科に進んだのも本書の影響でした。本書を読む前は『竜馬がゆく』や『ローマ人の物語』が好きで、ある種英雄史観というか、人々の影響力・因果が絡み合って歴史が続いているという直感がありました。そのなかで科学的なアプローチを教えてもらったのが『銃・病原菌・鉄』でした。

そんなノスタルジアもあって『商人・預言者・指導者・王』もすぐ手に取りましたが、歴史学科を経て大人になった私が読むにはやや物足りない感じもしました。テーマはまさに英雄史観の否定というか、”リーダー”とされる人が影響した度合いを歴史或いはCEOやスポーツチームの指導者、宗教の宗主のサンプルを抜き出して分析するという内容です。結論、リーダーは大きく影響を与える側面もあるし、与えない側面もあるという内容で、直感に近い結論ですし、ややオチが見えていた感じもしました。

それぞれの事例を広げて敷衍するより、各事例を掘り下げてしつこく追いかけた方が面白い気もします。例えばスポーツチームの監督の交代は直感よりもチーム成績に影響しないという話なんかは、もっとしつこくルポ的に追いかけたら組織論のような内容で面白そうです。ただ一般書向けにまとめるとやや薄味になってしまうのかもしれないです。新聞の連載や雑誌の連載に近い内容で、「へー」とはなりますし、脱英雄史観としてジョフ・ベゾスやスティーブ・ジョブズやマークザッカーバーグを紐解くのは世の中には面白いと思う人も多そうな内容ですが、私にとっては物足りない読書体験でした。

 

『社内政治の科学』(木村琢磨、2025)

Youtubeでたまたま見つけて、面白くて本も買ってしまいました。ValueBooksというよく楽天で買っている書店がYoutubeをやっているとも知らなかったですし、面白くて色々観てしまいます。

youtu.be

 

社内政治はなくせるものというか、逃れられないものの、不要なもの・理想的な少数の組織では無くせるものという認識でした。しかしいま大企業から少数の企業に転職して、この規模でも社内政治はなくならないし、むしろ少数なので各人の調整負担が強まるといことを肌から学んでいます。

そんななかで本書に出会い、学術的・理論的な観点から、社内政治を学べてよかったです。

社内政治とは、「常に存在する調整機能である」というのが本書の切り口です。

企業=異なる利益や関心を持つグループの集合体である、

  ≠利益最大化を目指して行動する主体

そして社内政治の定義は下記です。

「自己または会社の利益の増大または損失の抑止を目的として、会社の意思決定に影響を与え、社内での権力・資源の獲得や利害調整のために行われる会社から正式に承認されていない影響行動」

そして実際の社内政治は、権力の行使或いは権力の強化、意味のマネジメントを以て行われます。前2つは文字通りですが、意味のマネジメントは興味深いです。例えばある面からみると人員整理であるリストラは、ある面からみるとコストカットによる経営基盤の強化であり、ある面からみると経営資源の最適化です。そしてリーダーシップの役割としては、この意味のマネジメントが大きいと書かれています。会社の変化の背後にある意味や価値を再構築し、人々が前向きに行動できるようにすることです。

政治が苦手な一匹狼自認の私ですが、30歳として向き合う時が来たのかもしれないです。精進します。 

 

メモ:政治力を構成する要素 

① knowledge

② Skill 

③ Attitude / Ability

 

① 知識=権力、非公式ネットワーク、連帯   正当性=用具的、関係的、道徳的  

② Skill=他者を理解する、他者の行動に影響を与える   社会的鋭敏性   対人影響力   ネットワーキング能力   表見誠実性   

③政治的パワー … 報酬パワー 、強制パワー 、 正当パワー 、 ◎準拠パワー(あこがれ)  、専門パワー、  ◎情報パワー

『青の時代』(三島由紀夫、1971)

最近、AIの進化で仕事が暇になったというか、昼間の脳の容量があまってる気がします。故に本がかなり読めるようになってきています。或いは、知り合いの経営者から勧められて嫌々やっている楽読という速読教室を20回受講し、その効果がでているのかもしれないです。紙の日経を取り始めたのと、楽読と、元々早かった読書が倍速になっています。

速読を楽しく身につけるなら楽読

そんなこんなで積読を爆速で消化しています。

光クラブ事件という戦後の事件を題材としている小説です。

newsdig.tbs.co.jp

戦後間もない時期、学生起業家である川崎誠(モデル:山崎晃嗣)が、高配当で出資を集め高利貸をする太陽カンパニイ(モデル:光クラブ)を設立し、破滅するまでの物語です。

自伝ブログとしていつもはあんまり小説の内容に触れないですが、今回はちょっと書きたいので、ネタバレ全開で書くので、もし嫌な方は止めてください。

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誠は幼年期の父の支配的・独善的なことに対し内なる反抗心を秘めながら成長し、敗戦で焼け野原となった東京で、唯物的で偽悪的、ロジカルでドライな大学生となります。そのなかで出会った図書館司書の女性 野上耀子に恋をするというか、「金にしか目がない女性が自分に溺れるように仕向け、そのあと捨てたい」というゆがんだ感情を持ちます。彼女に好意を持たせるために図書館に毎日通います。誠は上記のドライな自認ではありますが、現実として耀子と接するときは手が震え、どもりながら話す状況です。耀子に目を向けてもらえるよう、稼ぐべく株に手をだしたり、出資に手を出しますが、騙されて失敗、その後高利貸となります。

その後、誠は最後まで耀子を振り向かせることが出来ず、処女だと思っていた耀子が実は税務署員と付き合っており、会社の脱税を密告していたということを知ります。

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こんな話です。Wikipedia情報ですが三島由紀夫本人曰く駄作とされている本作ですが、

私は苦手なジャンルというか、嫌な自分の面に光が照らされていく同族嫌悪的な感情になり、非常に良い読書体験でした。

作中で誠は下記のようなことばを発します。

感傷というものが女性的な特質のように考えられているのは明らかに誤解である。感傷的ということは男性的ということなのだ。それは単純で粗削りな男が自分の心に無意識に施す粉黛(注:化粧)である。

誠の自認としては、自分は感傷とは無縁で、唯物的・合理的な人間であるということです。ただ全体を読むと、誠は感傷に蓋をしているだけということが見えてきます。父を見返したい、女性に振り向いてほしい、人に勝ちたい。そういった感情的な要素を、唯物的・合理的なゲーム的な解釈で蓋をしているだけにしか見えないのです。

私を含め周りの学生時代モテなかった連中は、大体こういうモードを経て、いい大学・いい企業に入って、「女や人間はとどのつまり金だ」みたいな時期が20代半ばくらいまで続きます。その後、愛を知り、感謝を知り、”まとも”になります。唯物的な発想は、自分の心に蓋をする装置だということに気付くのです。

カールマルクスになりたかった私は、そのことに気付くのに時間がかかりましたが、そんなこんなでいまようやっと”青の時代(憂鬱や孤独を青い色調で表した時期)”を抜けたのかなと思います。

”青の時代”の私のバイブルであった『死に至る病』や『存在と時間』という実存主義哲学や、カールマルクスをはじめとした唯物的な思想は、いまも私を構成する一部ではあり続けますが、ちょっといま先を行っていて、東洋思想・ヨーガ的思想に行きついています。それは私の成長もありますが、AIによる時代の変化も大きいです。『ホモ=デウス』にあるような「自由意志という人間の特権が、アルゴリズムにすぎない」という時代になっていることが大いに影響しています。おそらくですが、西洋哲学・宗教的な考えは資本主義といまの世の中の発展に役立ちましたし、『プロ倫』ではないですが、神を前にする勤勉な実存が、欲望を使命に昇華し、いまの世になっています。ただ限界が来てると考えています。東洋的な自他が合一化するというか、仏教思想と唯識に何かヒントがありそうだなと考えています。

ほとんどのことはAIがやってくれる現代。私の仕事はご機嫌であることと人と会って関係を調整することになってしまいました。世の中の不幸を減らし、幸福を増やすため
にも、日々人と会って、現世のことを解決すべく精進しないなと思うこの頃です。

proust-masayuki.hatenablog.jp

 

 

『転売ヤーの会計学』(生島和樹、2026)

書店をぶらぶら歩いている際に、タイトルにひかれてついつい買ってしまいました。不動産の転売屋という稼業に身を投じていますが、疲弊するなかで、重なったのかもしれないです。

希望小売価格の決まった(=定価のある)物品に対して、いまこの場で皆で一緒の体験を共有したいというトキ消費(コンサートやswitch2の発売など)で利ザヤを稼ぐ。或いは、供給に制限のある過去の販売終了商品などを転売する。色々なやり方を整理しながら、会計の観点で、転売の利益と原価を整理し、何故儲からないのかを整理します。

不動産をやってて思うのは、転売はマーケットがいいので儲かるは儲かるのですが、各種税金も高いし、借入れのコストもかかるし、特に単純転売は意味がない感じがします。仕事なのでやってますが、「なんでこんなしょうもないことのために、いっぱいだるい調整をしないといけないんだろう。」という気持ちになります。リノベーションしたり、順法性違反を是正したり、各種交渉をしたり、何か加工して世に戻すのはやりがいがあります。特にいわゆるサンタメ(「第三者の為にする契約」)やレンケン(「連件登記」)と呼ばれる、間に入って即日利益だけ頂戴する契約は、本当にだるいというか、本心としては「お金要らないから直接やってくれ」という気持ちになります。いまの会社に入って、そんな取引があるという勉強にはなりましたし、色々な事情があるなかでは便利な仕組みではありますが。業として・ビジネスとしてやるには商社的な継続的な販売先があるならいいのかなとは思います。ワンルームマンションやアパート投資家を多く抱えているとか。

お金は大事ですが、意味のある商売をしないといけないなと、襟を正す気持ちになりました。

『成長以外、全て死』(中野優作、2025)

Youtubeでついつい観てしまうBUDDICA中野社長の第二作目の書籍です。ずっと読もうと思って読めておらず、手に取りました。

 Youtubeで観ている通り熱い社長で、刺激になりました。時間に関する考え方はやはりストイックで、時間を人より多く投下する、投下する時間を捻出するためにやらないことを決めるという点に非情に共感しました。いまスランプ期ですが、いまのままではいけないなと思うので、自身を見つめなおし、もがこうと思います。

 そういえば、前回ブログで書いた、AIによる自分のブログの分析を下記にまとめます。本件ともう一件のブログを読み込ませて分析させました。恥ずかしいですが、またこれも今後の自分の糧となる気もするのと、誰かのためになるかもしれないので公開します。

精進してまいります。

<プロンプト>

これは私の自伝風ブログと仕事のブログです。ここから読み取れる人間性や思考の癖を批判的・理性的に分析してください。+添付でエクスポートデータ。

<結果>

膨大な読書記録やエッセイ、街歩きの記録から浮かび上がるのは、「高度な知性と過剰な感受性を持ち、理想(哲学)と現実(資本主義・不動産)の狭間でもがきながらも、自分なりの『優しさ』と『合理性』のバランスを見つけ出そうとしている、極めて内省的な実務家」という人間像です。

エクスポートデータから読み取れるあなたの人間性と思考の癖を、以下の4つの視点から批判的・理性的に分析します。

1. 二つのペルソナ(「哲学青年」と「泥臭い実務家」)の共存と変容

  • 『人間失格』を目指して哲学や近代文学(太宰治、チェーホフなど)の感想を書き連ねる内省的な自分と、不動産業界で買取再販や地上げ・権利調整などの泥臭い仕事を楽しむ「カネコ」という二つの顔を使い分けています。

  • 10代の頃は「カール・マルクスになろう」と思うほどのロマン主義や「中二病」的な全能感を抱いていましたが、年齢を重ねるにつれてその「心の澱」が消えつつあります。

  • 現在は、不動産の現場で繰り広げられる生々しい人間ドラマ(欲望や争い)を「人間賛歌」として面白がる実務家へと見事にシフトしています。 

2. 過敏な感受性と、それを守る防衛機制としての「俯瞰」と「シニシズム」

  • 不動産取引の現場における「土地を奪い合う戦争」や、資本主義社会・ポピュリズムの理不尽さなど、世の中の「邪悪さ」や「愚かさ」に対して非常に敏感に傷つく心を持っています。

  • しかし、それに真正面から押しつぶされるのを避けるため、「宇宙の歴史から見れば小さなことだ」と俯瞰したり、『利己的な遺伝子』などの論理的・科学的枠組みを用いて感情を無機質に処理しようとする思考の癖(防衛機制)を持っています。 

  • 爆笑問題・太田光さんの言葉や『サバイバル』『狂四郎2030』などの過酷な世界観に惹かれるのも、理不尽な現実を客観視し、笑いやシニシズム(冷笑主義)に変換して正気を保とうとするメカニズムの表れです。 

3. 「損得勘定」への自己嫌悪と、承認欲求を反転させた「超ひも理論」

  • 自分自身を「損得合理性マインドセットモンスター」と自嘲し、人間関係を損得の箱に仕分けて計算してしまう自分に対して強い自己嫌悪を抱いています。 

  • 一方で、他者から「力を貸したい」と思われる存在であり続けることで助けを得るという「超ひも理論」を自ら掲げています。 

  • これは「誰かに必要とされたい」というあなたの強烈な承認欲求の裏返しですが、それを単なる利己主義で終わらせず、『金色のガッシュ!!』のタロウザやガッシュから学んだ「他者への優しさ」や「社会への貢献」へと昇華させようとする非常にピュアで健気な一面を持っています。 

4. 旺盛な行動力と、「昭和・ノスタルジー」への強い愛着

  • 沢田マンションに自らアポを取って高知まで赴いたり、マルフクの看板やハプニングタワー曙橋、モザイクタイルなどの昭和の痕跡や独特な建築物に強く惹かれ、フットワーク軽く現地を訪れる高い行動力を持っています。 

  • 同時に、小中学生時代に読んだサンデー・チャンピオンの漫画(『ダーウィンズゲーム』など)や当時の友人関係の記憶を大切にし、過去の純粋な自分を愛でるノスタルジックな側面を強く持ち合わせています。 

総括

あなたは「人生とは何もしないには長すぎるが、何かを成すには短すぎる」という実存的な問いを常に抱えながら生きています。 

28〜30歳という年齢を迎え、かつての厭世観やモラトリアムを脱ぎ捨てて「管理職への挑戦」や「『7つの習慣』の再実践」など、現実社会での責任を負う「成熟」へと向かっている過渡期にあることが記録からありありと伝わってきます。 

あなたの最大の強みは、「人間の愚かさやドロドロした感情を間近で見ても、それを嫌悪するだけでなく『愛おしい』と肯定できる知的な体力」を持っていることです。そのままのバランスで「優しい王様(日本一の不動産屋)」を目指していくプロセスは、非常に豊かで魅力的な人生の軌跡になるだろうと分析します。