2019年に不動産会社に入社して、先輩からおすすめされて読んだ本です。不動産業界に戻り、○ープンハウスとの接点も増え、読み返したくなった本です。
要は上記の不動産会社の実態を小説にした本で、主人公がやさぐれて壊れていく様を読み進めていく形です。
「数字は人格」とはよく言いますし、それを否定すると「やってから言え」となるのが営業の世界です。小説と実態はどうかというと、いまはだいぶまともな会社が多いよと思いますが、小規模の会社で出身が元『狭小邸宅』関係や元マンション販売関係のところはこんな会社も多いように思えます。新卒から、敢えて『狭小邸宅』やその他不動産会社にくる人間は2パターンで、稼ぎたい人か寂しさを埋めたい人です。もう1パターンのまちづくりをしたいという人は早々に辞める傾向にあると思います。そんな若手が、経験を経るなかで真っ当なビジネスマンになっていくのかなと思います。それで言うと『狭小邸宅』の主人公は、寂しさを埋めたい、空っぽな自分を埋めたいというタイプですし、私もそのタイプです。DV夫婦やサド侯爵夫人のように、支配・被支配関係に倒錯を覚えるようなものです。エーリッヒ・フロム『自由からの逃走』であるように、自由という重たくて持ってられないものを捨てたいという人間の性質が強く出たのが、『狭小邸宅』の主人公なのかなと思います。
そんな倒錯から、私はやっと覚めて、普通のビジネスマンになったと自負していますが、"成長志向"という皮を被った心の埋め合わせは日々様々な会社で起きているのかなと思います。心頭滅却すれば火もまた涼し。迷ったら忙しくしたいものです。