失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

『新世界』(西野亮廣、2018)

少し前に流行った本ですが、2022年になって出会い手に取りました。はねるのトびらで育った世代なので、キングコング西野亮廣さんについては、良く知っているわけではないですが馴染みはあります。そんな西野さんの本は、現代社会の信用とお金の関係を語っていて、要するにお金は信用を形にしたもので、信用を稼ぐ人間になろう、そしてなるにはどんな方法があるのかといった内容でした。

ずっと仰る通りだなと思いながら読んでいましたし、最近(4年前ですが)はレンタル何もしないおじさんや信用を元手に商売をやっている人も多いというトレンドを知ることができました。自分らしい生き方とはよく言いますが、その一番の近道であり唯一のルートは、力を貸したくな人間になることなんだなと、改めて思い馳せました。

 

私自身の話ですが生命保険のセールスという仕事をしていたときのことを思い出しました。合理性ではなく「お前なら任せるよ」という信頼にのみに依拠して商売の本質や奥深さを思い出しました。といっても当時は「お前なら任せるよ」という本質に納得がいっておらず、どうしても合理性、保険自体の経済的な便益、お前と付き合っているとこういうメリットがあるなという損得勘定、そのような考え方に縛られていました。付き合いで保険を売るなんて、ビジネスでないと思っていたのです。保険屋をギブアップする直前に、反対にすべての商売は付き合い、信頼だなと方向転換しました。信頼や愛情といった人間を突き動かす根源的な動力源の存在をやっと認めることができ、そこにアプローチして「お前に任せるよ」という信任とその対価としての覚悟に、商売の美しさ・奥深さを感じることができました。「世の中みんな金子という人間に興味がない中で、どう役立ちバリューをだすか」という損得勘定に縛られると同時に、世間に対しても金子にとって役立つか否かで見ていたという浅はかさが自分の目を汚していました。そんなことを優しくも厳しくも教えてくれた、両親・友人には大変感謝しております。そんなことを懐かしく思いながら読んでおりました。保険屋を経るまで、正直あんまり自分の人生に興味はなかったですし、いつ死んでもいいかなと思っていました。方向転換し、頂いた恩を返しつつ、後世に与えて贈っていきたいなという思いになったのも、保険屋時代の財産です。

 

そんなエモーショナルな部分での気付きや追憶を踏まえて、アクションとして面白いなと思ったのは「しるし本」という商売です。「しるし本」とは、書き込みのある本です。書き込みのある本というのは安く査定されるものですが、信用を稼いでいる人の書き込みが敢えて残された本を欲しい人はいるよねという商売です。確かにと思ったと同時に、いつも本が多くなりすぎると、ブックオフに安く引き取ってもらったり捨ててたものを、付加価値を感じる人にお譲りするのは素晴らしい試みだなと思いました。ただし収益性という観点では難しかったようで、2022年現在はサービス終了しているようです。

少しさみしいですが、もし私のブログに書いた本を欲しい人がいたら私までご連絡ください。送料だけでお送りしますので。というのも私は本にたくさん書き込みするのですが、一度読んだ本はEvernoteやブログにまとめたら捨てたり売ったりすることが多いです。読み返さないというのはわかっていますし、もし万が一数年経って読み返したかったら買えばいい、読み返すのにダンボールを漁って探すのが嫌だからです。カビてたりする場合もありますし。書き込みのある本というのは、あんまりいい気はしないというところがあります。ただこんなに目立たない読書ブログ風自伝を読んでくださっている方は、私のことを多少知ってくださっていると思いますし、西野さんの仰る信頼を私に感じている方もいらっしゃるかもしれないです。私の読んだ本たちを捨てるのは、気持ち的にもSDG'sの観点からも悩ましかったことなので、是非引き取って供養して、リレーしていけたら良いと思うのです。