失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

『David Beckham:My Side』(デイヴィッド・ベッカム、2003)

私はサッカーのことは余り詳しくないんですが、小学校の音楽の先生がベッカムマニアでいつもしゃべっていたことを何故か記憶していて印象に残っておりました。そんな薄い印象付けがずっと残っているなかで、手に取り思い出した本です。

先生が話していたエピソードで一番印象的だったのが、ベッカムのおしゃれは奥様がプロデュースし管理しているという話で、田舎の野暮ったいサッカー少年をサッカーだけでないスターに押し上げたのは奥様の力によるものだというものでした。当時は今よりも常識もサッカーも知らないので、「そうなんだ」くらいに受け止めており、記憶の奥底にしまっておりました。

 

そんなエピソードを思い出したのは、2022年の4月に結婚相談所の営業を受けているときでした。結婚相談所に行った話はどこかで残したいなと考えていた話でちょうどいい機会です。

前段としてなぜ結婚相談所の営業を受けることになったのかは、数か月前の出来事がきっかけです。当時は個人事業主の保険営業を約1年半、経済的にも心理的にも死にかけている2022年の1月上旬頃だったと思います。もう仕事を辞めようかなと思いつつ、正月も働いて成人の日の祝日もなんとか紹介をもらってオンライン商談を入れました。かなり関係性の薄い紹介で、保険に興味があるというような方の紹介でした。21時からで遅い時間の商談で、西武線沿いの微妙な駅の完全個室のインターネットカフェで商談をすることにしました。結果は長く悩んだ結果、お断りとのことで「ありがとうございました。」で終わりました。するともう終電もない時間でした。タクシーで帰ってもよかったのですが、泊まったほうが安いというのと、さすがにこの寒いなか朝まで耐えられないなという判断で、快活クラブ泊をすることにしました。なんか色々考えてしまって寝られなくて、虚しさと苦しさとのなかで、パソコンの画面が目に映りました。そこに出ていたのが某大手の結婚相談所のバナー広告で、なんか勢いで無料登録をしたのです。当然翌日テレアポがかかってきたのですが、仕事を辞めようと思ってて、次の職場決まったら営業してくれ的な返しをしたと記憶しています。

そんなことも忘れ、新しい職場で羽を伸ばしつつ経済的にも安定をしているなかで、結婚相談所の営業がかかってきたのです。そのときはちょうどフラれたさなかでしたので、「どんなもんか話聞いてみるか」くらいの感じで面談設定をしました。

 

営業を受けた結論は、入会したというオチなんですが、そこでベッカムの話が出てくるのです。

私は結婚したいというより、人生コケにコケていたので落ち着きたいなという気持ちが強かったものの、こんなものに大金を払うのはちょっとなあという感覚で臨みました。営業は私と同い年くらいの女性だったのですが、かなり気の強い人でバキバキの話の誘導とポストクロージングを交互に織り交ぜ、楽しい時間でした。そこでどんな人と結婚したいですかみたいな話のなかで、とっさに「ベッカムの奥様みたいに、気が強くて芯がある人。やりたいことをやりやりたくないことはやらない人です。」みたいな話が口から出てきまして、小学校の先生の話を思い出すことになりました。そんなこんなで色々話して、少し映像を見せられて営業が席を立つ場面がありました。私も営業なので心のなかで、営業マンのことが気に入ったら買ってしまうというチョロさがありまして、半ば前向き検討する気持ちになっておりました。そんな心境のなかで、営業が戻ってきたときに「カネコさんの魅力10選」みたいなシートを手書きで作ってくださいました。チョロい私はそこで完全にやられてしまいまして、10万円を払って入会することになったのです。

 

その時はこの営業の頑張りに対して10万円くらいならいいかなと思ったのですが、結論自分の人生にとって転機になりましたし感謝しています。

「お客様のお役に立つためにはまず売れ」

というような厳しいことばを私は受けたことがありましたが、そのことばの真意をこの経験で体験したなとも思います。

 

自伝を読んでいてベッカムはすごくピュアというか少年のような人だなと思いました。私もピュアな気持ちを取り戻して、変化を恐れず、人を愛して生きてたいなと思うのです。