失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

『22世紀の資本主義』(成田悠輔、2022)

私は基本的に本は紙で読みたいなという主義で、どうしてもページが行ったり戻ったりして読み返すのが電子書籍ではやりにくいなと思うのです。しかし新書やビジネス本はkindleで読むのに向いてるし、価格も安いし良いなと思うようになったし、マーカーやメモ・検索も使いやすいなと思って活用しています。友達がkindleの検索機能を活用しているのを教えてくれて、哲学書などで用語の使い方や出てくる箇所を比較できるのはめちゃ便利です。そんななかでGoogleBooksというアプリを入れたのですが、はっきり言ってよくなくて、動きも気色悪いし、本の品揃えも悪いです。ただよく500円引きのクーポンをくれるので新書を買います。前置きが長くなりましたが、そこで出会って買ったのがこの本です。

民主主義というシステムはもう死亡しているという感覚はあるし、期待もしていなかったですが、面白い切り口で民主主義を分析して提示してくれて、ちょっと日本で生きるの頑張ろうという気持ちになりました。『シン・ニホン』を読んだときや、優秀な同世代の若いビジネスマンと話してているときに、思うことと似た感情を感じました。私みたいにニヒルに生きることなく、正攻法で「こんなことしたらもっと世の中良くなるし、ワクワクするじゃん」というテーゼを行動と言葉で示して、世間にインパクトを与えていく、すごいなという感情です。同時に私ももっと頑張って、もっと面白いことをして、もっと世の中に良い影響を与えようと思うのです。

内容はというと、サブタイトルのことが全てで、選挙はアルゴリズムになるし、政治家はネコになるよということです。

選挙がアルゴリズムになるという話はすごくワクワクする話で、高校生の自分に読ませてやったら私はデータサイエンティストを目指していたと思います。当時の高校生の私は、カールマルクスになりたかった訳だけれども、昔のGDPでは拾いきれなかった数値や人間の感情的な数値をどんどん精緻に入力して答えを瞬時に導き出して政策決定できれば、全ての人が幸せになるなと思っていました。結論としては「無理だな」と大学で思って学者になる道をあきらめたのですが、この本の成田さんの話やシンニホンの安宅さんの話を踏まえると、なんかいつかできる気もするのです。地球という星は恒星である太陽の寿命とともに灰燼に帰す、文字通り塵になる訳で、当然に人間の文化や感情というものは消滅しますが、少なくとも私の子供や孫やその先の世代が、最後の日まで幸せに生きてほしいと思うのです(イエローストーンの噴火で先に絶滅するかもしれないですが)。私の世代でも既に日本という国は機能不全な感じもするし、死にかけだなと感じますが、成田さんや安宅さんのような人の希望に満ちた未来予想図を見ると、もっとやれるよねという希望というか、目を背けないで考えたいなという気持ちにさせてもらえる気がします。

また今回の成田さんの話の結論は、政治家はマスコット的な象徴であるネコになるという話ですが、最近の私の生き方の正解というか結論も、「ネコになる」に近い発想でした。私のあだ名は”大将”で、中高大とずっとそうやって呼ばれていました。結論、大将になろうという話です。私の人生目標である「全ての人が生きやすい世の中にする」ために、私自身が何かできる訳ではないのだけども、少なくとも自分の周りの人にはおせっかいを焼こうというか、何かよくなるように力を貸そうと決めました。そうするとお山の「大将」的な、居酒屋の「大将」的な、そんな風になれたらいいなと思ったのです。最終的には加山雄三のように世の中の「大将」になって、「加山雄三はずっと若いしかっこいいな、私も頑張ろう」というような存在になりたいものです。まずは長生きできるように、痩せて健康を取り戻す2023年にしようと思います。

居酒屋「大将」に向けて、周りを楽しませて自分も楽しみ、頑張ろうと思えた一日でした。