失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

『ホーキング、ブラックホールを語る』(スティーブン・W・ホーキング、2020)

高校の頃、私は文系で数学も物理もあまり得意ではなかったですし、好きでもなかったです。そんな私に数学や物理学の面白さを教えてくれたのはホーキング博士の『ホーキング宇宙を語る』でした。当時は大学一年生くらいだったと記憶していますが、最近たまたま続編というか、この本を書店で見つけて再会しました。

頭の良い人の切り口で世界を見ると、月並みですが宇宙や世界は本当に面白いなと思います。私はラプラスの悪魔の話やスピノザ決定論的な世界認識が好きで、だから歴史学が好きだったんだと思います。"史実"と呼ばれる過去の記録から、過去のある一時点の事実を推定し、それぞれ別の事実の因果関係を推定していく。そんな積み上げていく過程が面白いなと思っていました。そんななかで科学的決定論的な私の思考にメスを入れ、当時の私が全く知らなかった量子力学の考え方をわかりやすく教えてくれたのがホーキング博士でした。ロジカル思考とアーティスト思考という言葉がありますが、読書体験を経て私のロジカルの思考に遊びが生まれた気がしました。そもそもの常識や自分の当たり前を疑う。ミクロの世界の話を、宇宙という巨大なものを扱う話に持ってきて、新しい考え方を示して行く様子に感動しました。当時はシュタインズゲートとかも流行っていたので、物理学者に憧れ、まずは高校の教科書をちゃんと勉強しようと思い、実家に取りに帰った記憶を思い出しました。

今でも高校や大学の友達に会うと、真理を追究することを諦めたサラリーマン同士で、でもやっぱり自分なりに真理に迫ってみたくてどうしようかなみたいな話になります。それで大学院行こうかなとか、職業研究者になろうかなとか言い出して、お酒が効きすぎないくらいまではそんな話になります。結局最後は馬鹿な話か恋バナかそんな話になります。

「事象の地平面を超えて11次元の果てまで君を追いかけるよ」

そんな男でありたいものです。