失われた時を求めて

読書に始まる自伝的ブログ

最近思うこと

『桜の樹の下には』(梶井基次郎、1972)

2022年11月、母方の祖父の葬儀がありました。今生の別れというものはいくら経験しても慣れませんが、葬儀自体はとても良い葬儀でした。そのことは日を改めて書き記そうとは思うのですが、様々な感情の起伏があり陰のモードというか闇のモードというか、文学…

『夜と霧』(ヴィクトール・E・フランクル、1946)

運命に感謝しています。だって私をこんなひどい目にあわせてくれたんですもの 以前何不自由なく暮らしていたとき、私はすっかり甘やかされて、精神がどうこうなんて、真面目に考えたことがありませんでした ※2020年8月13日のメモより 読んだ当時も衝撃的でし…

『堕落論』(坂口安吾、1946)

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。 2022年末は、青春18きっぷの旅に出たり、恋をしたり、本を読んだり、仕事や人生について色々考えたり、なんか満ちた時間を過ごしていました。しかし1月1日くらいから堕落した生活を送ってしま…

『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(マックス・ヴェーバー、1904)

通称『プロ倫』、私は文系の大学生だったで大学で読まされるというか読まないとなみたいなところで出会った本です。この前ブログを読んでくれている知り合いから、「『プロ倫』一緒に読もうよ」と言ってもらって、久しぶりに読み直し、読書会をやりました。 …

『春の雪(豊饒の海 第一巻)』(三島由紀夫、1969)

冬になると内省的なモードに入っていきまして、2023年を目前に2023年/27歳をどう過ごすかを考え、人に話して、整理するという作業を始めています。 20代をどう過ごすかを考えるなかで、「27歳で人生が終わるかもしれないな」という昔から抱いている感覚が昔…

『ソニー再生』(平井 一夫、2021)

上司から「絶対に読んだ方がいい」と勧めていただいた本で、手に取りました。 ソニー再生 変革を成し遂げた「異端のリーダーシップ」 (日本経済新聞出版) 作者:平井一夫 日経BP Amazon 読んでから思い出したのは、私はそもそも組織適正が0に近く、リーダー…

『それでも日々は続くから』(燃え殻、2022)

今年の春に書店で出会ったエッセイ本で、読まずに置いてあったのを見つけて読みました。 色々疲れてくると余裕がなくなってきて、自分が悲劇の主人公になったような気持ちになったり、そこまでいかなくても自分ほど繊細だったり苦労している人はいないんじゃ…

『マスク』(菊池寛、1920)

先月の半ば頃にひとに勧めてもらった本であって手に付けないでいたのですが、最近私が流行りのコロナに罹患しまして、床に伏して苦しんでいるさなかにたまたまそのもらったレジュメが目につき、手にとった次第です。 1920年の世でのマスクや感染症に関する感…

『成功哲学《誌上講座》1919-1923』(ナポレオン・ヒル、渡邉美樹監訳、2010)

有名なナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』の前に、雑誌上で連載していたものを書籍化したもので、渡邉美樹さんが訳を監修しているそうです。 成功哲学《誌上講座》1919-1923 作者:ナポレオン・ヒル きこ書房 Amazon 保険の個人事業主をやっていたころ「…

『日曜日の人々』(高橋弘希、2017)

昔から図書館や古本屋が好きで、地元のBOOKOFFでタイトルと表紙に惹かれ何となく手に取り出会いました。 日曜日の人々 作者:高橋 弘希 講談社 Amazon タイトルと表紙からの予想に反して、やや重ための小説でした。精神と肉体(行為)の分離というか、精神的…

『イシューからはじめよ』(安宅和人、2010)

Kindle Unlimitedで掲載されており、久しぶりに出会って手にとった本です。 イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」 作者:安宅和人 英治出版 Amazon 与えられた仕事に右往左往しないで、本質的な問題に目を向け、様々な角度から問題を切り分け…

『おいしいごはんが食べられますように』(高瀬隼子、2022)

芥川賞受賞作品、現代に求められる小説。ムカつく小説だなと思いつつ、共感してしまうことに空恐ろしさも感じる小説でした。 おいしいごはんが食べられますように 作者:高瀬隼子 講談社 Amazon 主要な登場人物は3人で、優秀な若手男性社員の二谷、身体が弱い…

『滴り落ちる時計たちの波紋』(平野啓一郎、2004)

中二病時代、三島由紀夫は旧字体で読まなければいけないという原理主義的な思想のなかで『日蝕』(平野啓一郎、2002)に出会いました。美しい文章だなと思いつつ、話は難しかったなという薄い記憶です。 平野啓一郎という名を見て、そんな記憶を思い出しなが…

『蹴りたい背中』(綿矢りさ、2003)

中学生くらいのときに読み、心にこびりついて印象に残っていた本です。自分が繊細だと思っている語り手の”長谷川”、彼女が学校内の人間関係としての世間を斜に見たり、同種の人間というか同じく馴染めていない”にな川”。そんな二人と学校という世界を中心に…

『わたしを離さないで』(カズオ・イシグロ、2006)

2017年にカズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した際に読んだ本で、最近マンガの『約束のネバーランド』を読み、思い出して実家で読み返しました。 このブログは読書ブログではないですし、ネタバレが嫌なタイプのSF小説ですので、内容は触れないですが、…